ECサイトを運営していると、解決しなければならない課題が出てきます。ですが、課題はひとつの分野ではなく、「集客」や「コンバージョン」「売上」など多岐に渡るため、何かひとつを解決すれば良いということではありません。そこで、自社で運営しているECサイトで、何が問題なのかを見つけ、早急に改善していく必要があるのです。
この記事では、ECサイトでよくある課題と、その一般的な解決案をご紹介します。また、ShopifyのECにおすすめの解決法もご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
ECサイトの基本的な知識については下記の記事をご覧ください。
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ECサイトで解決すべき、よくある6つの課題
ECサイトで解決すべき課題には、いくつかパターンがあります。中でも以下の6つは、ECサイト運営の定番ともいえる課題です。まずは、課題内容を理解し、自社のECサイトがこれらに該当していないかを見ていきましょう。
集客の成果が出ていない
ECサイト最大の課題が「集客」です。どれだけ良い商品を安く販売していたとしても、そもそもサイトに来訪してもらえないのでは機会損出どころか機会がありません。ですから、まずは自社のECサイトに訪れてもらうように、課題を解決しましょう。
コンバージョン率(CVR)が低い
「集客」については問題なくても、来訪者が「購入」して貰えなければ、ECサイトとしては問題です。この商品購入に至る顧客の割合を「コンバージョン率(CVR)」と言い、ECサイトの運営では注視すべき指標のひとつになっています。
コンバージョン率が低いままでは、いくら集客に力を入れても結果に結びつき難い状態になりますので非効率です。コンバージョン率が理由は様々なケースが考えられますが、迅速に改善を行う必要があります。
1回の購入に対する客単価が上がらない
コンバージョン率が改善されても、購入金額が低く「客単価が上がらない」というケースも、よくある課題のひとつです。客単価が低いということは、コンバージョンの利益が低いことと同義です。
逆に、高額商品を取り扱っていたり、セット販売が多く客単価が高いECサイトであれば、例えコンバージョン率が低くても問題ないケースも考えられるでしょう。ですから、自社のECサイトではどれくらいの客単価が望ましいのかを考え、それを下回るようであれば改善が必要となるでしょう。
顧客のリピート購入率が少ない
「リピート購入が少ない」というのも、よくあるECサイトの課題のひとつです。集客した顧客がきちんと購入してくれるようなECサイトにできたとしても、その1回で購入がストップしてしまうのであれば、また最初から別の顧客を集めるしかありません。
一度購入した顧客であれば、少なくとも商品の魅力については問題なかったと考えられるので、何が問題かを見つけて早急に改善する必要があります。
ターゲット層の顧客分析ができていない
客単価を上げたり、リピート購入を増やしたりするような施策を講じたにも関わらず、結果に結びつかないというケースもあります。実施した施策が意味を成さないのは、顧客分析ができていないことが原因だと考えられます。
例えば、安い商品を探している顧客に、高くて良い商品をおすすめしても良い反応はないでしょう。また、独身者に家族向け商品を提案しても意味はありません。これらは表面的でわかりやすい課題とは異なりますが、これもECサイトでよくある課題のひとつといえます。
人手不足で業務が圧迫されている
ECサイトに限ったことではありませんが、人手不足もよくある課題のひとつです。特にECサイトの場合は、入金確認や商品登録、発送など、実店舗と異なる様々な業務があります。
そして、どの業務についても遅れが発生することで、顧客に悪印象を与えたり、配送までに時間がかかりすぎてキャンセルされたり、ECサイト運営にとってネガティブな結果を招きかねません。
ECサイトの運営業務について、詳しくは下記の記事をご覧ください。
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集客に関するECサイトの課題の解決策
よくある課題解決のファーストステップとしては集客に関する課題です。新規顧客が集まらなければ、コンバージョンや売上関係の課題解決以前の問題ですので、以下の解決策を実施しましょう。
SNSでブランドのファンを増やす
実践しやすい施策としては、SNSを利用した集客方法があります。SNSの利用者は多いので、アカウントを作成して自社商品の魅力やキャンペーンを情報などを告知することで、顧客となりうるユーザーへアプローチできるでしょう。
また、投稿した内容が良ければ、ユーザーによって拡散される効果も期待できます。このような書き込みはユーザーが生成するコンテンツ、すなわち「UGC(User Generated Content)」として注目されています。特に、発信力を持ったインフルエンサーが取り上げてくれれば、強力なマーケティング効果があるでしょう。
なお、SNSには「Instagram(インスタグラム)」や「X(旧Twitter)」「Facebook」「YouTube」などのプラットフォームがありますが、SNSごとにユーザー層は異なります。そのため、自社のECサイトに最適なSNSに注力することが大切です。
Instagramを活用したEC施策ついて、詳しくは下記の記事をご覧ください。
Web広告で認知度を高める
Web広告の活用はコストがかかりますが、認知度を高める施策としては有効です。Web広告の種類を選ぶことによって、即効性を狙ったり、ユーザー属性を絞ったりすることもできます。
ですが、Web広告にはコストがかかりますし、広告の種類によって効果も変わります。そのため、Web広告を出稿する場合は、ターゲットに知らせたい情報は何かを検討し、広告による特徴などを理解した上で選ぶことが大切です。
Web広告の種類と効果について、詳しくは下記の記事をご覧ください。
SEO対策を行って自然流入を増やす
ECサイトの集客施策として、一番重要になってくるのが「SEO対策」です。SEO対策がきちんとできていれば、欲しい商品名をユーザーが検索した際に、検索エンジンの検索結果に自社のECサイトが上位表示されるようになります。ですが、SEO対策は、ECサイトのコンテンツや構造などを検索エンジン向けに最適化するなど、スキルや知識が必要です。
SEO対策について、詳しくは以下のページをご覧ください。
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コンバージョン率に関するECサイトの課題の解決策
集客に問題がなくてもコンバージョン率が課題となっているケースもあります。この場合は、サイトを徹底的に見直し、問題点を改善していきましょう。ですが、他社よりも価格が高すぎるなど、根本的な問題の場合もあります。商品によってコンバージョン率が極端に変わらないかどうかを確認した上で、改善を検討してください。
買いたくなる商品説明ページへ改善をする
コンバージョン率を向上させるために、一番見直したいのが商品説明ページです。
テキスト面では商品の重要な特徴をキャッチコピーにしたり、購入した場合のベネフィットを記載したりする方法があります。画像についても、ライティングや背景などにこだわり、商品の魅力や特徴を最大限に活かせる写真を撮ることが必要です。
その上で、人と写すことでスケール感がわかったり、実際に手に持った時をイメージしたりできる画像があるとコンバージョン率の向上に繋がります。また、口コミやレビューをページ内に配置するのも効果的です。
商品説明の書き方について、詳しくは下記の記事をご覧ください。
購入手続きの入力フォームを改善する
商品をカートに入れチェックアウトフローまで進めたものの、必要事項を入力中に購入を止めるケースもあります。
これにはいくつかの理由が考えられますが、そのひとつとして商品の送付に必要ない項目の存在です。ECサイトの運営者としては、顧客の情報を取得したいところですが、余計な項目が入力フォームにあることで、顧客が面倒になってしまうのです。また、顧客の入力の手間を省けるよう、郵便番号検索で住所を自動入力できるような改善もあります。
ShopifyのECサイトであれば、配達先住所、配達方法、決済方法まですべてが1ページにまとめられており、購入決定のボタンまでページが遷移することはありません。
カゴ落ちを防止する対策を行う
カゴ落ち対策も、コンバージョン率を上げるために必要な改善策です。カゴ落ちにも様々な理由があり、その対策としては「送料無料または事前の明示」「決済方法や配送方法の選択肢を増やす」などがあります。上記で紹介したチェックアウトまでのフローの簡略化もカゴ落ち対策として有効とされています。
ほかにも、すでにカゴ落ちしている顧客に対してリマインドのメールを送ったり、リターゲティング広告でアプローチすることも、カゴ落ち対策に有効です。
→豊富なEC構築実績を持つShopify PlusパートナーのBiNDecがご相談を承ります。
売上に関するECサイトの課題の解決策
売上を向上させることは、ECサイトの重要な課題です。売上をアップさせるには、客単価の向上やリピート購入率を上げる解決策を実施しましょう。
カート内の商品に対してアップセルやクロスセルを提案する
売上を向上させるためには、チェックアウトのタイミングでアップセルやクロスセルを提案する方法もあります。
アップセルとは、購入を予定している商品に対して、上位グレードの商品を提案することです。例えば、1,000円のワインを購入しようとしている方に、1,500円のワインをおすすめします。アップセルの施策について、詳しくは下記の記事をご覧ください。
クロスセルの場合は、購入を予定している商品と関連する別の商品を提案する方法です。例えば、1,000円のワインを購入しようとしている方に、ワイングラスやワインオープナーなどの商品をおすすめします。いずれの方法も、当初の客単価よりも高くなりますので、売上向上に寄与します。クロスセルの施策について、詳しくは下記の記事をご覧ください。
購入後のフォローアップやアフターサービスを行う
リピート率を向上させたい場合は、購入後のアフターサービスを行うなどのアプローチが必要です。例えば、特別なクーポンの配布や割引などの優待メールを送るなどです。
また、顧客のエンゲージメントを高めることで、自社のECサイト(またはブランド)に対して、愛着を持ってもらうことも有効です。価格面だけで勝負するのではなく、顧客との関係性を深める施策を行い、ロイヤルカスタマーと呼ばれる存在が増えれば、自然とリピート率は上がるでしょう。
ロイヤルカスタマーについて、詳しくは下記の記事をご覧ください。
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顧客分析に関するECサイトの課題の解決策
顧客分析を行い、ECサイト全体の包括的な課題に繋げることも重要です。顧客ニーズの傾向を感覚的に捉えるのではなく、ツールなどを利用することでエビデンスのある分析を行いましょう。
なお、最近ではAIツールである「ChatGPT」を使った売上分析方法もあります。詳しくは下記の記事をご覧ください。
フレームワークで顧客の思考をロジカルに整理する
顧客分析を行うのであれば、フレームワークを利用する方法がおすすめです。顧客を分析するためには、大前提として顧客の行動を予測し、その仮説が正しいのかを確認していくことになります。
例えばロジックツリーというフレームワークで仮説を立てる際は、具体的な目標(KGI)を決め、目標をクリアするあめの成功要因(KSF)、成功要因に導くための数字(KPI)を決めます。これらはひとつではなく、複数のKSFやKPIでKGIを達成することになりますので、KGIを頂点にツリーのような形になります。
ロジックツリーの具体的な作例としては、ECサイトのPVを50%増加させるというKGIがあれば、KSFのひとつにトップページへの誘導と決めし、それを達成させるために広告で10%、SNSで20%、キャンペーンで20%というKPIを設定します。
そして、それらをクリアするために、「バナー広告を出す」「Xでリポストキャンペーンをする」「メルマガでキャンペーンを告知する」などの具体的な施策を各KPIに対して複数考えていきます。これでロジックツリーは完成です。
あとは、これらがクリアできているかどうかをGoogleアナリティクス4(GA4)やストア分析の数値を見ながら判断していきます。結果として、バナー広告の成果が出ず、Xのリポストキャンペーンが成功しているのであれば、顧客の思考としてSNSでの告知がマッチしていることがわかります。
逆にいえば、このように顧客の思考を整理しなければ、闇雲に広告費を使ったり、無駄なリソースを割くことにもなりかねないのです。さらに詳しい顧客分析の手法については、下記の資料をご覧ください。
CRMツールを導入する
CRM(Customer Relationship Management)とは、事業者が顧客との関係性を強化していくためのアプローチです。例えば、購入履歴から、顧客のニーズ合った商品情報を提供し、心地よい購入体験を重ねてもらいます。
これらは情報を自分で整理するのではなく、CRMツールやMAツールを導入して運用を効率化するとよいでしょう。なお、Shopifyでは、ECとツールをAPI連携することで顧客データの一元管理が可能です。
CRMの施策について、詳しくは下記の資料をご覧ください。
マーケティングの専門業者に依頼をする
フレームワークやツールを利用して顧客分析をするのではなく、マーケティング支援や代行の専門業者に顧客分析を依頼する方法もあります。ECサイトの運営者はとして、顧客分析は業務のひとつですが、いくらツールを利用しても専門業者のような正しい判断を下せるとは限りません。
そこで、外注費はかかりますが、顧客分析は専門家に依頼してしまい、自身はECサイトのメイン業務に集中するという方法もあります。
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人手不足に関するECサイトの課題の解決策
人手不足の問題は、人を雇うことで解決できます。ですが、現実的に人を雇う場合は固定コストがアップしてしまいますし、繁忙期と閑散期がある場合は閑散期にリソースが余ることになります。ですから、ECサイトならではの、解決策を用いることが大切です。
業務を効率化できるツールを導入する
人手不足の解消するため、受注管理システムや物流管理システムなどを導入する方法もあります。Shopifyなら、注文情報を一元管理し、受注後の在庫の確保から出荷、配送、返品までのフローをスムーズを行うOMS(オーダー・マネジメント・システム)と連携して業務を自動化することができます。
また、WMS(ウェアハウス・マネジメント・システム)と呼ばれる、入荷・在庫・加工・出荷の管理、帳票の管理発行など、物流倉庫の作業を一元管理するソフトウェアもあります。OMSについて詳しくは、下記の記事をご覧ください。
マニュアル化できる業務をアウトソーシングする
人手が足りないのであれば、マニュアル化できる事務作業をアウトソーシングする方法もあります。特に、顧客対応や発送業務などでリソースが圧迫し、商品企画などのコア業務に手が付かないのであれば、コア業務以外を外注するのもいいでしょう。
もちろんアウトソーシングには費用がかかりますが、時間の無い中で無理をして発送業務を行い、作業ミスが起きたり、商品の梱包が雑になっては顧客の信頼を失いかねません。
ECサイトのアウトソーシングにはバックヤード業務を一括で委託できる「フルフィルメントサービス」もあります。必要に応じて、アウトソーシングを検討してください。物流をはじめとしたバックエンド業務の効率化施策について、詳しくは下記の資料ご確認ください。
ECサイトの課題は原因を見極めて解決していこう
ECサイトにはさまざまな課題があり、そのひとつひとつに解決方法があることをご紹介しました。ですが、正しく原因を見極めてから解決策を実施しないと、結果に反映されないばかりでなく、必要のないコストをかけることにもなりかねません。そのためにも、顧客分析などを正しく行い、必要な施策を選定して実施していきましょう。
Shopify PlusパートナーであるWEBLIFEのEC構築・支援サービスBiNDecでは、豊富な経験と知識を元に、ECサイトの課題解決をお手伝いいたします。売上成長のためのグロース支援も行っておりますので、ShopifyでのEC構築や運用に関してお悩みの方は、気軽にお問合せください。