ECサイトの売上を伸ばすには、新規顧客の開拓以上に既存顧客のリピート増加に力を入れることが重要となるため、リピート率に着目しているEC事業者も多いのではないでしょうか。リピート率が向上すれば、コストの削減や収益の安定につながりますが、どうすれば向上できるのか、悩むケースも多いかもしれません。
本記事では、EC事業者が注目すべきリピート率について、リピーター率との違いといった基本的な知識や業界別の目安、改善策などを中心に詳しく解説していきます。
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リピート率とは、初回購入客のうち継続購入に至った顧客の割合
リピート率とは、初めて自社の商品やサービスを購入した顧客のうち、継続購入してくれた顧客の割合を示す数字です。顧客全体のうち、何割の顧客が繰り返し購入してくれているかを表す指標ともいえます。
リピート率を上げることは、BtoBであっても、BtoCであっても重要です。リピート率が低いと顧客が定着せず、収益が安定しない要因になるため、どのような規模・業種の事業者でも注目すべき指標だといえます。リピート率が高いということは、顧客が最初の購入で良い購買体験を得たということであり、商品やサービスへの好評価の表れでもあります。
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リピート率の計算方法
リピート率は、下記の計算式で算出することが可能です。
一定期間内のリピート顧客数÷一定期間内の新規顧客数×100=リピート率(%)
例えば、1年間で獲得できた新規顧客数が3,000人で、うち150人がリピートしてくれた場合、リピート率は下記のように算出します。
1年間のリピート顧客数(150人)÷1年間の新規顧客数(3,000人)×100=5%
なお、上記の計算式のうち、「1年間のリピート顧客数」を「1年間に3回目の購入に至ったリピート顧客数」と設定すれば、3回目の購入に至ったリピート率も計算することができます。
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リピーター率との違いは新規顧客かどうかに有り!
リピート率と混同されやすいのが、リピーター率です。リピーターとは、ある商品やサービスを気に入って複数回にわたって利用する人のことであり、リピート率とリピーター率はどちらもリピーターの割合を示す指標ですが、厳密にはその意味は異なります。
リピート率が、新規顧客のうちリピーターになった人の割合を示すのに対し、リピーター率は新規顧客ではなく、一定期間内の購入者すべてを母数とした場合のリピーターの割合を示した指標です。リピート率は、初めての購入時に何らかの良い印象を持ち「もう一度買ってみよう」と思った顧客が増えなければ向上しませんが、リピーター率は、既存顧客が何度もリピートしている場合も向上します。
リピーター率は、新規顧客は減ってしまっていて既存顧客がリピート購入しているという状況でも高い数値となるため、必ずしも事業の好調さを示す指標とはいえません。一方、リピート率は、新規顧客が定着している場合に高い数値を示すため、ECサイトの運営状況を適切に判断できる指標のひとつだといえます。
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リピート率がEC事業で重要な理由
リピート率を重視し、向上に努めれば、企業の売上を安定的かつ継続的に伸ばすことが可能です。EC事業においてリピート率が重要視される理由としては、主に下記の3点が挙げられます。
優良顧客を育成できているかどうかの見極めになるため
リピート率に着目すると、優良顧客を育成できているかどうかの見極めができるようになります。
新しく立ち上げたECサイトなどでは、つい新規顧客獲得に目が行きがちです。しかし、売上を維持・拡大するためには、新規顧客の開拓以上に既存顧客の維持に注力する必要があります。
なぜなら、特にEC事業での新規顧客獲得においては、広告などで認知した顧客がほかのECサイトとの比較・検討を経て購入に至るのが一般的な流れであり、新規顧客のみで安定した売上を上げるのは困難だからです。また、結果の8割は優れた2割の構成要素が生み出しているとする「パレートの法則(8:2の法則)」という考え方もあり、企業の売上の大部分を一部の優良顧客(リピーター)が支えているようなケースも存在します。既存顧客の育成に注力したほうが、確実に売上を増やせる可能性が高いのです。
リピート率は、新規顧客の定着度を示す指標であり、3回目以上、4回目以上の購入に至った顧客の割合も算出できるため、顧客育成が成功しているかどうかを見極める指標になります。
パレートの法則について詳しくは、下記の記事をご参照ください。
効率的に収益を向上できるため
リピート率に着目すれば、効率的な収益の向上につなげることもできます。
既存顧客の維持はECサイトの運営で最も重要な要素のひとつとされており、その理由は、新規顧客の獲得にかかるコストのほうが既存顧客の維持コストよりも高いためです。新規顧客の獲得コストと既存顧客の維持コストの関係性を表す、「1:5の法則」と呼ばれる法則があり、新規顧客の獲得には既存顧客の維持よりもおおよそ5倍のコストがかかると考えられています。新規顧客と既存顧客から同じだけの売上を上げても、新規顧客への販売にかかるコストは高くなるため、利益率が低いのです。
顧客離れを5%改善すれば利益は25%回復するとする「5:25の法則」も同様に、既存顧客からの売上の重要性を示しています。
リピート率を高めるということは新規顧客を既存顧客に育成するということであり、新規顧客の獲得よりも低コストで売上を増やせるため、より効率的に収益を向上できるのです。
また、リピート率を高めれば、一人ひとりの顧客が自社との取引を開始してから終了するまでに自社が得られる利益を表すLTV(Life Time Value)の向上にもつながります。
LTVについて詳しくは、下記の記事をご参照ください。
顧客満足度の指標になるため
リピート率は、顧客満足度の指標として活用することも可能です。顧客のリピートは、商品やサービスに満足していることの表れといえるため、リピート率が高ければ顧客満足度が高く、ロイヤルティが高まっている状態だといえます。逆にリピート率が低いままだったり、急激に低下したりすれば、顧客満足度も低下していることが予想されます。
リピート率を定期的に確認すれば、商品やサービスに対する顧客の評価を確かめることもできるため、顧客満足度の指標として重要な役割を果たすのです。
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業界別に見たECサイトのリピート率の目安
ECサイトのリピート率は、業種や業界によって異なります。主な業界別に見たECサイトのリピート率の目安は、下記のとおりです。
■業界別に見たECサイトのリピート率の目安
アパレル業界 | 約35% |
---|---|
化粧品・健康食品業界 | 約50% |
PC・家電業界 | 約25% |
リピート率には、商品の特性も影響しています。
アパレルは、趣味や好みが合致していれば継続して別の商品も購入する可能性が高く、ターゲットに合ったアプローチをすることでリピーターが発生しやすい業種です。
化粧品や健康食品も同様に、効果を感じたり、使用感が良かったりすればリピートが増える傾向があります。家電などと異なり、比較的短期間でなくなる消耗品であることも、リピート率を高めている要因です。
一方、PCや家電は、一度買うと長く使う傾向があります。したがって、2度目の購入時には大幅に機能が改善された他社商品や、価格の安い商品が登場している可能性が高く、リピートにつながりにくいと考えられます。
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リピート率が上がらない4つの原因
リピート率が上がらない場合、原因を見極めて早急に対策をとらなければなりません。リピート率が上がらない主な原因としては、下記の4点が考えられます。
顧客管理・顧客分析が十分でなかった
顧客の属性や購入履歴などのパーソナルデータの分析が不十分だと、リピート率を高めることはできません。顧客全体の傾向を分析すれば、自社商品に魅力を感じてくれるターゲットを絞り込んだり、リピーター層の特徴をつかんで適切な施策を打ち出したりすることができるようになります。
商品・サービスの満足度が低かった
商品やサービスに満足してもらえなければ、リピーターを獲得することは困難です。初回の購入で何らかの不満を感じた人が、継続して購入することはほとんどありません。
満足度を下げる要因は、商品やサービスそのものの品質、価格と品質のバランス、問い合わせに対する対応の質などが考えられますが、状況に応じて異なるため、総合的に分析して原因の特定と改善を進めることが必要です。
競合他社と比較して商品・サービスなどが劣っていた
自社の商品・サービスの品質に問題がなくても、競合より優位でなければリピート率は低下してしまいます。競合他社が自社を上回る品質を実現できていたり、価格面で圧倒的に安価だったりする場合には、自社で継続購入してもらうことが難しくなるため、競合他社の状況の把握と優位性確保のための改善は怠らないようにしましょう。
リピーター獲得のための施策が不十分だった
リピーター向けのキャンペーン施策や、顧客に愛着を持ってもらうためのコミュニケーションなどが不足していると、初回購入後に競合他社に流れる顧客が増えてしまいます。初回購入時の商品の品質に満足してもらえればリピーターになる可能性は高まりますが、確実にリピートにつなげるためには、顧客の「リピーターになりたい」という気持ちを喚起しようとすることも重要です。
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EC事業でリピート率を上げるための施策
EC事業でリピート率を上げるための施策には、さまざまな種類があります。代表的な施策としては、下記の6点が挙げられます。
リピートしたくなる特典を用意する
「良い商品だったからもう一度買いたい」という気持ちを後押しするのが、リピート時に前回よりお得に購入できる特典の存在です。
例えば、初回購入者に向けて、次回の購入で使えるお得なクーポンを配布したり、自社のサイトでの買い物に使えるポイントを多めに付与したりするといった方法があります。リピーター限定の施策を展開すれば、「類似する他社商品はあるけど、ここでもう一度買ったほうがお得だ」と感じてもらうことができます。
また、購入者限定のキャンペーンなども有効です。購入者だけが優遇されている、大切にされていると感じることは、再購入の十分な動機になりえます。
会員制度を作る
商品購入によって加入できる会員制度を作ることも、リピート率の向上には有効です。会員になることによって得られる特典や、累計購入金額に応じて上がる会員ランクごとのプレゼントなどを用意すれば、リピート購入の意欲向上や購入金額のアップが期待できます。
初回の会員登録時に得られたデータをもとに誕生月にメッセージを送り、誕生月だけ使える特典をプレゼントする方法も効果的です。
誕生日のポイント付与制度が導入できるShopifyアプリについてはこちらをご覧ください。
紹介制度を作る
紹介制度は、既存顧客のリピート率を向上させつつ、新規顧客も獲得できる効果的な方法です。紹介制度によって、既存顧客が紹介した友人・知人が商品やサービスを購入した際、紹介者と購入者の両方に継続購入につながるような特典をプレゼントすれば、紹介するメリットと継続購入するメリットを同時に提供できます。
紹介者側の特典を、紹介数に応じて増やしていくのもおすすめです。
顧客との接点を増やしてロイヤルティを高める
リピート率を上げるには、一度獲得した新規顧客を放置しないコミュニケーションも重要です。購入後も接点が途切れないように、メール、LINEなどのSNSの公式アカウント、自社アプリといったさまざまな手段を活用して、顧客との接点を作りましょう。
多くの接点を持ち、自社ブランドに親しみや愛着を感じてもらえる発信を継続することで顧客のロイヤルティは高まり、リピートにつなげやすくなります。自社アプリに誘導することができれば、プッシュ通知を使ってセール情報や新商品の案内などをダイレクトに届けられるため、リピート率の向上に効果的です。
ロイヤルティについて詳しくは、下記の記事をご参照ください。
購入後のアフターサービスの質を高める
リピート率との関係が深い顧客満足度は、購入後のフォローの質によっても左右されます。購入後にトラブルが起きた際、顧客からの問い合わせに対して適切に、かつすみやかに対応できる体制を整えれば、トラブルという逆境を乗り越えて自社のファンを作り出すことも可能です。
人的なコストをかけなくても、よくある質問と回答の一覧をQ&Aにしてサイトに掲載したり、チャットボットを導入したりするだけでも顧客の利便性は向上します。商品に対する不満やクレームを防ぐため、商品・サービスの使用法に関する動画配信やセミナーなどを実施するのも、場合によっては効果的です。
データを分析し、リピート率が上下する原因を探る
リピーターになってもらえそうな層を予想し、施策を実行しても、予想と実態に乖離があると施策の効果は上がりません。購入者とリピーターのデータを分析し、リピーターになりやすい人の特性や離脱しやすい人の傾向を確認しましょう。
新たな施策を展開した後、リピート率や売上の推移を継続的にモニタリングすることも重要です。
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データ分析や顧客とのコミュニケーションで、リピート率を高めよう
ECサイトの売上のカギを握るリピート率は、顧客情報の分析や、会員制度の導入をはじめとした適切な施策の導入で改善を図ることができるため、積極的にさまざまな施策に取り組んでください。
その場合、施策の実施に適したさまざまな機能があるECプラットフォームを活用すれば、効率的に施策に取り組むことができます。ECプラットフォームの中でもShopifyは、顧客の行動分析、マーケティング分析の機能が標準で搭載されており、サードパーティ製のさまざまな機能拡張用アプリによって会員制度の導入や顧客とのコミュニケーション管理も簡単に行うことができるため、多くのEC事業者におすすめです。
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