ECのリピート率を上げてLTV向上|顧客をファンに育てる6つの打ち手

ECのリピート率を上げてLTV向上|顧客をファンに育てる6つの打ち手

ECサイトの売上を伸ばすには、新規顧客の開拓以上に既存顧客のリピート増加に力を入れることが重要となるため、リピート率に着目しているEC事業者も多いのではないでしょうか。リピート率が向上すれば、コストの削減や収益の安定につながりますが、どうすれば向上できるのか、悩むケースも多いかもしれません。
そのため、リピート施策の実行がしやすいECプラットフォームの選定も、注目されるようになっています。特にShopify(ショッピファイ)は、拡張性の高さからリピーター育成に役立つ仕組みを取り入れやすいという点でさまざまな業種・業界での採用が進んでいます。

本記事では、EC事業者が注目すべきリピート率について、リピーター率との違いといった基本的な知識や業界別の目安、改善策などを中心に詳しく解説していきます。

リピート率とは?

リピート率とは、初めて自社の商品やサービスを購入した顧客のうち、継続購入してくれた顧客の割合を示す数字です。顧客全体のうち、何割が繰り返し購入しているかを表す指標ともいえます。

リピート率を上げることは、BtoB、BtoCどちらにとっても重要です。リピート率が低い場合、顧客が定着せず、収益が安定しない要因となるため、業種や事業規模に関わらず、すべての事業者が注目すべき指標だといえます。一方、リピート率が高いということは、顧客が最初の購入で良い購買体験を得たと捉えることができ、商品やサービスへの高評価の表れともいえるでしょう。

リピート率とリピーター率の違い

リピート率と混同されやすいのが、リピーター率です。リピーターとは、ある商品やサービスを気に入って複数回にわたって利用する人のことを指し、リピート率とリピーター率はどちらもリピーターの割合を示す指標ですが、厳密にはその意味は異なります。

リピート率が、新規顧客のうちリピーターになった人の割合を示すのに対し、リピーター率は新規顧客ではなく、一定期間内の購入者すべてを母数とした場合のリピーターの割合を示した指標です。リピート率は、初めての購入時に何らかの良い印象を持ち「もう一度買ってみよう」と思った顧客が増えなければ向上しませんが、リピーター率は、既存顧客が何度もリピート購入した場合にも向上します。

リピーター率は、新規顧客が減っている局面であっても、既存顧客がリピート購入している状況で高い数値となるため、必ずしも事業の好調さを示す指標とはいえません。一方、リピート率は、新規顧客が定着している状態で高い数値を示すため、ECサイトの運営状況を適切に判断できる指標のひとつといえます。

リピート率の計算方法

リピート率は、下記の計算式で算出できます。

<リピート率の計算式>
一定期間内のリピート顧客数÷一定期間内の新規顧客数×100=リピート率(%)

例えば、1年間で獲得できた新規顧客数が3,000人で、うち150人がリピートしてくれた場合、リピート率は下記のように算出します。

<リピート率の計算例>
1年間のリピート顧客数(150人)÷1年間の新規顧客数(3,000人)×100=5%

なお、上記の計算式のうち、「1年間のリピート顧客数」を「1年間に3回目の購入に至ったリピート顧客数」と設定すれば、3回目の購入に至ったリピート率も計算することができます。

リピート率がEC事業で重要な4つの理由

EC事業の成長において、リピート率は売上の安定性と将来性を示す指標となります。そのリピート率が重要とされる理由には、主に次の4つのポイントが挙げられます。

1.新規顧客獲得コストを削減するため

一般的に新規顧客を獲得するには、広告費やマーケティング活動など大きなコストがかかります。マーケティングの世界では、これを表す「1:5の法則」という考え方があります。これは、新規顧客を獲得するには既存顧客を維持するよりもおよそ5倍のコストがかかる、というもので、新規顧客と既存顧客から同じだけの売上を上げても、新規顧客への販売にかかるコストが高くなるため、利益率が低くなると考えられます。また、顧客離れを5%改善すれば利益は25%回復するとする「5:25の法則」も同様に、既存顧客からの売上の重要性を示しています。

新規集客には、広告出稿やキャンペーン施策などの費用が必要になる一方で、既存顧客へのアプローチは、メール配信やSNS発信など比較的低コストな施策が有効です。さらに、一度購買経験がある顧客は、商品やブランドへの理解が進んでいるため、再購入の心理的ハードルが低いこともメリットの一つといえるでしょう。
リピート率を高めることは、顧客を育成することにもつながり、新規顧客の獲得よりも低コストで売上を増やせるため、より効率的な収益の向上が期待できます。

新規顧客獲得をはじめ、ECサイトの売上アップ施策については、事例も併せてこちらの記事で解説しています。

2.顧客ロイヤルティの構築とブランドイメージの向上に寄与するため

リピート率に着目すると、優良顧客を育成できているかどうかの見極めができるようになります。
新しく立ち上げたECサイトでは新規顧客獲得に目が行きがちですが、売上を維持・拡大するためには、新規顧客の開拓以上にリピーターの維持に注力する必要があります。

なぜなら、特にEC事業での新規顧客獲得においては、広告などで認知した顧客がほかのECサイトとの比較・検討を経て購入に至るのが一般的な流れであり、新規顧客のみで安定した売上を上げるのは困難だからです。また、結果の8割は優れた2割の構成要素が生み出すとする「パレートの法則(8:2の法則)」という考え方もあり、企業の売上の大部分を一部の優良顧客(リピーター)が支えているようなケースも存在します。

このような優良顧客は、ブランドに対するロイヤルティが高い「ファン」となっていきます。また、ファンとなった顧客がSNSや口コミを通じて発信するUGC(User Generated Content/ユーザー生成コンテンツ)は、ブランドイメージの向上や新たな顧客の自然な獲得にもつながります。

冒頭でもお伝えしたShopifyを軸に、顧客を“ファン”に育てるEC戦略をテーマに3社が集い行ったイベントのレポート記事もぜひ併せてご覧ください。

3.収益の安定化と予測可能性の向上につながるため

継続して製品を購入してくれる顧客が多いECサイトは、売上が特定の時期やキャンペーンに大きく左右されにくく、安定したリピート購入が見込めるため、事業計画や在庫管理、売上予測が立てやすくなり、より健全な経営が可能になります。
また、リピート率を高めることは、一人ひとりの顧客が自社との取引を開始してから終了するまでに自社が得られる利益を表すLTV(Life Time Value/顧客生涯価値)の向上にもつながります。単発購入では顧客1人あたりの売上は限定的ですが、リピート購入を重ねることで1顧客あたりの売上が積み上がり、結果的に収益効率が高まります

リピーターは新商品や上位モデルの購入にも積極的な傾向があり、クロスセルアップセル戦略とも相性が良いのが特徴です。効率よく利益を伸ばすには、単なる新規獲得だけでなく、既存顧客の購買回数を増やす仕組みづくりが不可欠と言えます。

LTVについて、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

4.顧客フィードバックによる商品・サービス改善が見込めるため

リピート率は、顧客満足度の指標として活用することも可能です。顧客のリピートは、商品やサービスに満足していることの表れといえるため、リピート率が高ければ顧客満足度が高く、ロイヤルティが高まっている状態だといえます。逆にリピート率が低いままだったり、急激に低下したりすれば、顧客満足度も低下していることが推測できます。

また、リピーターは、ブランドの商品やサービスを深く理解しているため、より具体的で質の高いフィードバックを提供してくれることも期待できるでしょう。こうした優良顧客による貴重な意見は、商品開発やサービス改善に直結し、結果としてECサイト全体の品質向上につながります。
このように、リピート率を定期的に確認すれば、商品やサービスに対する顧客の評価を確かめることもできるため、顧客満足度の指標として重要な役割を果たすのです。

顧客の声を収集する際に必要になるのがアンケートなどの回答フォームです。Shopifyには導入できるフォーム機能も充実しています。詳しくはこちらの記事をご覧ください。

ECサイトのリピート率向上の成功事例2選

リピート率の向上を狙うには、満足度の高い顧客体験やアフターフォローなど、そのECサイトで買い物をすることの有意性を顧客が実感できるかどうかが鍵になります。
ここでは、リピート率を高める施策を実施しやすいECプラットフォーム「Shopify」で、BiNDecが構築を支援した2つのECサイトを取り組みの一部としてご紹介します。

事例1|火消魂(HiKESHi SPiRiT)


インバウンド客で賑わう浅草の店舗とShopifyによる越境ECで、日本の粋を世界に発信するアパレルブランド「火消魂(HiKESHi SPiRiT)」。実店舗の購入客層は9割がインバウンド客とのことですが、新規客とリピート客の割合はほぼ均衡しているそうです。そのため、越境ECと連動したリピーター育成のための施策も実施しています。

店頭のPOSシステムであるスマレジと連携することで実店舗とECのどちらで商品を購入しても共通のポイントシステムが利用できるShopifyアプリのeasyPointsを導入。繰り返し実店舗を訪れることが難しいインバウンド客でも、ECサイトでポイントを上乗せして貯めることができるため、購入のモチベーションアップにつながります。また、実店舗とECなどすべてのチャネルを統合することで、購入履歴を含む顧客情報が共通化されるため、1to1マーケティングに活用することも可能です。

火消魂の取り組みについて、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

事例2|john masters organics


ニューヨーク発のオーガニックコスメブランドである「john masters organics」は、ヘアケア、スキンケア、ボディケアのアイテムなどを中心に、国内で40以上の直営店を持つ人気コスメブランドです。

john masters organicsでは、BiNDecの支援の元顧客一人ひとりに対してパーソナライズされたマーケティング施策を打つために、各チャネルの会員IDを統合しました。顧客情報を一元化することで、誰が、いつ、どこで、何を購入したのか、といった購買データを個別に分析・活用し、最適なアプローチを実施することが売上向上だけでなく、顧客ロイヤルティを高めるきっかけとなっています。

さらに、シーズンごとのキャンペーンや顧客へのメールマーケティングなど、あらゆる施策の成果がERP(Enterprise Resource Planningシステム)によってコストや売上利益のデータと一元管理されるため、各施策に対して最適な予算管理が可能となっています。

john masters organicsの施策について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。

上質な購買体験の創出に最適なShopify

Shopify公式サイト
上記の2つのブランドは、どちらもShopifyで構築されたECサイトと、実店舗の顧客情報を統合し、業務の効率化だけでなく顧客体験の向上を実現した成功例です。

ECプラットフォームのShopifyの大きなメリットの1つは16,000を超えるアプリから導入したい機能やサービスを柔軟に拡張できる点です。Shopify公式以外にも、認定を受けたサードパーティーのShopifyアプリがあり、例えば、会員管理できるスマホアプリ化のサービスや、POSレジシステムと連携することで、実店舗とECサイトの情報を統合することができます。それらにより実現できるリピート率の向上施策をこの後から解説していきます。

ShopifyでできるEC事業でリピート率を上げるための6つの施策

EC事業でリピート率を上げるための施策には、さまざまな種類があります。ここでは、Shopifyサイトで今すぐ取り組みたい6つの施策と、それを実現するために役立つアプリやサービスなども併せて紹介します。
そして、これから紹介する機能をECサイトに導入したい場合に検討したいのがShopifyベースのEC構築モデル「BiNDec MODEL」です。先ほど紹介したWEBLIFEのサービスで、ECサイトに必要な機能をあらかじめ整理しているため、迷わず効率的に成果へつなげることができます。

リピートしたくなる特別特典を用意する

「良い商品だったからもう一度買いたい」という気持ちを後押しするのが、リピート時に前回よりお得に購入できる特典の存在です。

例えば、初回購入者に向けて、次回の購入で使えるお得なクーポンを配布したり、自社のサイトでの買い物に使えるポイントを多めに付与したりするといった方法があります。リピーター限定の施策を展開すれば、「類似する他社商品はあるけど、ここでもう一度買ったほうがお得だ」と感じてもらうことができます。

例えば、BiNDecが提供するShopifyアプリ 「BiNDec|ポイント」を活用すると、購入額に応じて付与・利用できるポイントシステムをECサイトに実装できます。商品や期間、顧客毎にポイントの付与ルールを細かく設定できるため、顧客満足度の向上や、リピーターの育成、AOV(平均購入金額)アップが期待できます。こちらのアプリも先ほど紹介したBiNDec MODELに搭載されています。

Shopifyでできるポイント施策については、下記でも詳しく紹介しています。

ECサイトの会員制度を作る

商品購入と同時に加入できる会員制度を作ることも、リピート率の向上には有効です。会員になることによって得られる特典や、累計購入金額に応じて上がる会員ランクごとのプレゼントなどを用意すれば、リピート購入の意欲や購入金額の向上が期待できます。

初回の会員登録時に得られたデータをもとに、誕生月だけ使える特別なクーポンなどの特典をプレゼントする方法も効果的です。また、会員限定のキャンペーンなども有効です。会員だけが優遇されている、大切にされていると感じることは、再購入の十分な動機につながります。

会員に向けてスマホアプリでコンテンツを配信するなど、エンゲージメントを高める施策はさまざまです。会員制度やブランドのスマホアプリ化を実現する「STORES ブランドアプリ」についてこちらの記事で解説していますので併せてご覧ください。

購入後のアフターサービスの質を高めて顧客ロイヤルティを向上

リピート率を上げるには、一度獲得した新規顧客を置き去りにしないコミュニケーションも重要です。購入後も接点が途切れないように、メール、LINEなどのSNSの公式アカウントや自社アプリなど、さまざまな手段を活用して顧客との接点を作ることが肝要です。

その近道の1つが、マーケティングオートメーション(MA)ツールの活用です。例えば、ECサイトに特化したMAツール「Dotdigital」は、メールやSMS、ソーシャルメディアなど複数のチャネルを統合管理できるほか、Shopifyをはじめとする主要なECプラットフォームと連携し、顧客データをもとにパーソナライズされたマーケティング施策を自動で展開できます。

Dotdigitalを用いたパーソナライズドマーケティングについて、詳しくはこちらをご参照ください。

定期購買(サブスクリプションモデル)の導入

日用品やコスメなど、継続利用が前提となる商品では、サブスクリプションモデルの導入が有効です。顧客は毎回注文する手間が省け、必要なタイミングで自動的に商品が届く安心感を得られます。一方、事業者側にとっても購買を習慣化させることで安定的な売上を確保でき、解約しない限りリピーターを確実に維持できるメリットがあります。
また、顧客データをもとに、最適な配送サイクルやおすすめ商品の提案を行えば、満足度の向上と併せてLTV(顧客生涯価値)拡大にもつながります。

Shopifyで構築したECサイトで定期購買を実施するには、Shopifyが公開している独自のサブスクリプションAPIを用いてECサイトに実装する方法と、Shopifyアプリを使って導入する方法があります。どちらの方法が自社のビジネスモデルに最適か判断が難しい場合は、Shopifyパートナーに相談して設計を依頼することで、スムーズなEC構築が実現します。

24時間対応のWeb接客で購入時の不安を解消

購入を検討している顧客は「サイズが合うか」「商品はいつ届くか」など、ちょっとした不安を理由に購入を見送ることがあります。そこで有効なのが、AIチャットボットによる24時間対応のWeb接客です。よくある質問に即時回答できれば、購買前の不安をその場で解消し、購入完了率を高められます。
さらに、購入後のトラブルや返品方法に関する問い合わせにも素早く対応することで、顧客の安心感を醸成し「また利用したい」と思わせる体験を提供できます。結果として、初回購入での離脱を防ぎ、リピーター化の促進につながります。

Shopifyにもシンプルなチャット機能がありますが、顧客一人ひとりに合わせた対応を求めるなら、顧客管理機能も備えたAIチャットボットなどのコミュニケーションツールを選びましょう。

例えば、「チャネルトーク」といった顧客対応に特化したAIコミュニケーションツールなら、ECサイト上のチャットだけでなく、SNSやLINE、メールなど、さまざまなコミュニケーションチャネルを一元管理できます。また、CRM機能も備えているため、購入履歴や対話履歴などの顧客情報を基にした、よりパーソナライズされた接客が特徴です。
顧客対応に特化したAIコミュニケーションツール 「チャネルトーク」

LTV向上を叶える具体施策について、チャネルトークと共にBiNDecが開催したイベントのレポート記事もぜひ併せてご覧ください。

データを分析してリピート率が上下する原因を探る

リピーターになってもらえそうな層を予想し、施策を実行しても、予想と実態に乖離があると施策の効果は上がりません。勘や経験に頼るのではなく、購入者とリピーターのデータを分析し、リピーターになりやすい人の特性や離脱しやすい人の傾向を確認するとよいでしょう。

例えば「購入2回目以降の離脱率が高い」「特定カテゴリの商品ではリピートが少ない」などの傾向を把握すれば、改善点の優先順位が明確になります。また、顧客属性や購買履歴を掛け合わせて分析することで、「リピーターに育ちやすい顧客像」や「リピートを阻害する要因」が明らかになります。こうした情報は、Shopifyが標準で備える「ストア分析」からチェックできます。数字の裏にある顧客行動を読み解くことが、着実な改善の第一歩です。

以上の6つのようなリピート率を底上げする仕組みづくりから任せられるのがShopify PremierパートナーであるBiNDecです。「施策がうまく回っていない」「どこから手をつければいいか分からない」と感じたら、一度相談してみてはいかがでしょうか。

リピート率で意識したいそのほかの指標

リピート率の向上が収益の安定化や優良顧客の育成に重要な指標の1つであることや具体的な施策の実施方法をお伝えしてきました。ここからは、ベースとして覚えておきたい、リピート率を考える際の指標となる「F2転換率」と「LTV」などの用語や「業界別に見たECサイトのリピート率の目安」について説明します。
これらを組み合わせて分析することで、リピート施策の優先順位や効果をより正確に判断できます。

F2転換率とは

F2転換率とは、初回購入者が2回目の購入につながった割合を示す指標です。ECにおいて、初回購入から2回目へ進むかどうかは極めて重要なポイントであり、F2転換が実現できれば、その後も継続して購入してくれる確率が高まると言われています。
なお、F2は、Frequency(頻度、回数)の頭文字Fと購入回数の数字を表したものです。そのため、3回目の購入ではF3、4回目ではF4と呼び方が変化します。

F2転換率の算出方法

F2転換率は、以下の計算式を使って算出します。

F2転換率(%)=2回目の購入に至った顧客数(人)÷ 新規顧客数(人)×100

例えば、初回購入した顧客(新規顧客)数が1,000人、2回目の購入をした顧客が400人いた場合、計算式は400÷1,000×100となり、F2転換率は40%となります。

LTVとは

これまでにも登場しましたが、LTV(Life Time Value)は、1人の顧客が生涯を通じて自社にもたらす売上総額を示す指標で、日本語では顧客生涯価値を意味します。LTVがわかれば、顧客を一人獲得した際にどの程度の利益を見込めるかを判断することが可能です。
リピート率が上昇するほどLTVも伸びていくため、EC事業の持続的な成長を考えるうえで欠かせない指標と言えるでしょう。

LTVの一般的な算出法

LTVには、いくつかの計算方法があります。ここでは、「顧客の平均購入単価」「収益率」「平均購入頻度」「平均継続期間」をもとに算出する一般的な計算式を紹介します。

LTV=顧客の平均購入単価×収益率×平均購入頻度×平均継続期間

例えば、顧客の平均購入単価が6,000円、収益率が50%、平均購入頻度が年3回、平均継続期間が5年の場合、LTVは下記のように計算できます。

<LTVの計算例>
6,000円×50%×3回×5年=4万5,000円

業界別に見たECサイトのリピート率の目安

ECサイト全体のリピート率は、一般に30~40%とされていますが、業種や業界によってリピート率は異なります。主な3つの業種のECサイトにおけるリピート率を見ていきましょう。

業界別 ECサイトのリピート率の目安

アパレル・ファッション業界 約35%
化粧品・健康食品業界 約50%
PC・家電業界 約25%

リピート率には、商品の特性も影響しています。
例えば、アパレルは、趣味や好みが合致していれば継続して別の商品も購入する可能性が高く、ターゲットに合ったアプローチをすることでリピーターが発生しやすい業種です。また、化粧品や健康食品も同様に、効果を感じたり、使用感が良かったりすればリピートが増える傾向があります。家電などと異なり、比較的短期間でなくなる消耗品であることも、リピート率を高める要因です。
一方、PCや家電は、一度買うと長く使う傾向があります。したがって、2度目の購入時には大幅に機能が改善された他社商品や、価格の安い商品が登場している可能性が高く、リピートにつながりにくいと考えられます。

リピート率が上がらない4つの原因

リピート率が上がらない主な原因としては、下記の4点が考えられます。リピート率が上がらない場合、原因を見極めて早急に対策を講じる必要があります。今の課題を踏まえて、EC支援事業者に相談すると最適解に導いてくれるでしょう。

1.顧客管理・顧客分析が十分でなかった

顧客の属性や購入履歴などのパーソナルデータの分析が不十分である場合、リピート率を高めることはできません。顧客全体の傾向を分析することで、自社商品に魅力を感じてくれるターゲットを絞り込んだり、リピーター層の特徴をつかんで適切な施策を打ち出したりすることができるようになります。

顧客管理や顧客分析について、詳しくは下記をご参照ください。

2.商品・サービスの満足度が低かった

商品やサービスに満足してもらえなければ、リピーターを獲得することは困難です。初回の購入で、品質が期待したものでなかった、説明と実際が乖離している、サポートが不十分といった顧客体験の不満は、離脱の大きな要因です。
とはいえ、満足度を下げる要因は状況に応じて異なるため、総合的に分析して原因の特定と改善を進めることが必要です。

3.競合他社と比較して商品・サービスなどが劣っていた

自社の商品・サービスの品質に問題がなくても、競合より優位でなければリピート率は低下してしまいます。競合他社が自社を上回る品質を実現できていたり、価格面で圧倒的に安価だったりする場合には、自社で継続購入してもらうことが難しくなるため、競合他社の状況の把握と優位性確保のための改善は怠らないようにしましょう。

4.リピーター獲得のための施策が不十分だった

購入後のアフターフォローや、特典やキャンペーン等の情報提供が乏しいなどの施策や、顧客に愛着を持ってもらうためのコミュニケーションが不足している場合、顧客の定着を妨げ、競合他社への流出につながってしまいます。確実にリピートにつなげるためには、顧客の「リピーターになりたい」という気持ちを喚起する継続的なアプローチも重要です。

データ分析や顧客とのコミュニケーションで、リピート率を高めよう

ECサイトの売上のカギを握るリピート率は、顧客情報の分析や、会員制度の導入をはじめとした適切な施策の導入で改善を図ることができます。必要な施策には積極的に取り組みましょう。

その場合、施策の実施に適したさまざまな機能があるECプラットフォームを活用すれば、効率的に施策に取り組むことができます。ECプラットフォームの中でもShopifyは、顧客の行動分析、マーケティング分析の機能が標準で搭載されているだけではなく、さまざまな機能拡張のアプリによって会員制度の導入や顧客とのコミュニケーション管理も簡単に行うことができるため、多くのEC事業者におすすめです。

そして、その豊富なアプリや機能の中から貴社の課題解決に必要なものを選定し提案ができるのが、Shopify認定のPremierパートナーであるWEBLIFEが提供するBiNDecです。設計力と実行支援の両面に強みがあり、成果につながるリピート施策を実現したい企業にとって心強い存在です。ぜひ、お気軽にご相談ください。

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POINT

  • リピート率とは、初回購入客のうち継続購入に至った顧客の割合であり、EC事業では重要な指標となる
  • リピート率は、顧客管理や商品・サービスの品質、競合他社に対する優位性に問題があると低下する
  • リピート率の向上には、リピーター向けの特典や会員制度の導入、顧客との接点の増加、適切な顧客分析などが重要

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