自社ECとは?モール型との違い・メリットデメリットと始め方

自社ECとは?モール型との違い・メリットデメリットと始め方

この記事でわかること

  • 自社ECにはブランディングやコスト面でメリットがあり、集客やサイト構築の手間などにデメリットがある
  • ECモールには集客力を利用できるメリットがあり、価格競争に巻き込まれやすいなどのデメリットがある
  • 自社ECとECモールは両者に良い点・悪い点があるため、両者を併用して事業展開していくのがおすすめ

自社ECを立ち上げると、自社商品を直接顧客に販売できるようになります。顧客とダイレクトに関係性を構築できることから、モール依存からの脱却やブランディングを目的に、自社ECの立ち上げを検討している事業者も増えています。

本記事では、自社ECとECモール(Amazon・楽天市場など)の違いや、それぞれのメリット・デメリット、自社EC立ち上げの流れ・費用、成功事例までを解説します。

自社ECとは、EC事業者が独自のドメインで運営するECサイトのこと

自社ECとは、EC事業者が独自のドメインで運営する自社のECサイトのことです。Amazonや楽天市場のようなECモールに出店するのではなく、自社だけの独立したショップを持つ点が最大の特徴です。
ECサイト構築に関する専門スキルを持ったスタッフがいない事業者でも、ECプラットフォームを利用すれば手軽に自社ECを立ち上げられます。実店舗よりもコストを抑えやすいことから、実店舗は持たずに自社ECだけで商品の販売を行う事業者も少なくありません。

ECプラットフォームについて詳しくは、下記の記事をご参照ください。

モール型ECとの違い(比較表)

自社ECとECモールは、ECサイトを運営する主体そのものが異なります。それぞれの特徴を比較しながら、自社にとってどちらが適しているかを確認していきましょう。

自由度・手数料・集客・顧客データの違い

自社ECでは、EC事業者自身が運営するサイトで自社商品を販売しますが、ECモールでは社外の運営者が用意したショッピングモールにEC事業者が出店・出品する形で商品を販売します。ECモールはあらかじめ用意された枠組みの中での運用となるため、自社ECほど柔軟なカスタマイズはできません。

手数料の面でも違いがあります。たとえばAmazonでは、大口出品プランで月額4,900円(税別)の固定費に加え、カテゴリごとに8〜15%(一部カテゴリは最大45%)の販売手数料がかかります。楽天市場では初期登録費用60,000円(税別)に加え、月額出店料(プランにより25,000円〜130,000円)、さらに売上に応じたシステム利用料が発生します。

一方の自社ECは、販売手数料が発生しない月額制プラットフォームも多く、コストを抑えやすい傾向があります(ただし決済手数料は別途かかります)。集客については、ECモールはモール自体の知名度で一定数見込めますが、自社ECは自ら集客施策を行う必要があります。
また、ECモールでは基本的に顧客データをモール側が管理するため、出店側が自由に顧客データを収集し、リピート率やLTV向上の施策に活用することは困難です。

  運用の柔軟さ 販売手数料 集客 顧客データ管理
自社EC 自由な運用が可能 無料、もしくはECモールより低め 実施する施策次第 自社
ECモール 制限がある かかる 一定数見込める モール側

※モールの手数料は時期・カテゴリにより変動するため、最新情報は各モールの公式サイトでの確認をおすすめします。

ECサイトのビジネスモデルについて詳しくは、下記の記事をご参照ください。

ECモールに出店するメリット・デメリット

amazonサイトキャプチャ

ECモール大手のAmazon


ECモールの最大のメリットは集客力の高さです。知名度や信頼性を借りられるため、自社の知名度が低くても販売機会を得やすく、出店・出品の手間も比較的少なくて済みます。

一方でデメリットとしては、価格競争に巻き込まれやすい点や、規約の範囲内でしか展開できないためブランディングが難しい点が挙げられます。顧客データもモールが管理するため、自社のマーケティング資産として蓄積することはできません。売上に応じた手数料負担も大きくなりがちで、事業が拡大するほどランニングコストがかさむ傾向があります。

自社ECとECモールで迷ったときの判断基準

どちらを選ぶか迷う場合は、下記の3点を基準に検討してみてください。

長期的なファンを獲得したいか:自社ブランドのファンを育てたいなら自社EC、商品力だけで安定運営できそうならECモールが向いています。

事業の拡大を視野に入れているか:EC事業を収益の柱に育てたい場合は自社EC、副次的な収益で十分な場合はECモールという判断も可能です。ただし自社ECでも、プラットフォームによって拡張性は異なるため、機能や手数料の比較は必須です。

ターゲット層が特定されているか:ニッチな商品を扱う場合は、顧客と長期的な関係を築きやすい自社ECが適しています。逆に幅広い新規顧客からの安定収益を狙うなら、ECモールでも十分な場合があります。

自社ECのメリット(ブランディング/顧客データ資産化/手数料)

自社ECは、ECモールよりも自由度が高く、顧客との関係性を結びやすい販売方法です。ここでは代表的な3つのメリットを紹介します。

ブランディング戦略に合わせた自由な設計ができる

自社ECには、自社のブランディング戦略に合わせたサイトデザインや機能を自由に導入できるというメリットがあります。ECサイトにブランドイメージを反映できるため、他社との差別化を図りやすくなります。
さらに、コンテンツマーケティングやSEO、ウェブ広告といったマーケティング施策を自由に展開できる点も強みです。セールやクーポン配布のタイミングも自社でコントロールできるため、売上をコントロールしやすくなります。

ただし、ECプラットフォームによってはデザインのカスタマイズ性が低いサービスもあります。ブランディングを重視する事業者は、希望通りのデザイン・機能を導入できるプラットフォームを選ぶことが重要です。
Shopifyによってブランドイメージに合わせたデザインにリプレースした事例は下記の記事をご覧ください。

顧客データを”自社の資産”として蓄積できる

自社ECの大きな価値は、顧客データを自社の資産として蓄積できる点にあります。「顧客がどこから訪問したのか」「何を購入したのか」といった詳細な情報を収集でき、個人情報や購入履歴もすべて自社で管理可能です。

ECモールに出店した場合、顧客データは基本的にモール側が管理するため、出店側がマーケティングに活用できる情報は限られます。自社でデータを保有できれば、リピート率やLTV向上のための施策を自らの意思で設計・実行できるため、モールへの依存から脱却し、中長期的な事業基盤を築くことにつながります。
分析結果に応じてマーケティング施策を実施したり、効果測定を行ったりすることも容易なため、経営判断にも活用できるデータ資産となります。

手数料を抑えてランニングコストをコントロールできる

ECモールと比べて、自社ECはランニングコストを抑えやすいというメリットもあります。
たとえば楽天市場では月額出店料(25,000円〜130,000円)に加えて売上連動の手数料が発生し、Amazonでもカテゴリによっては販売手数料が最大45%にのぼることがあります。一方、自社ECにかかる費用はプラットフォームによって異なりますが、販売額に応じた手数料が発生せず、月額利用料と決済手数料のみで運用できるサービスも少なくありません。

売上規模が大きくなるほど、モールの売上連動型手数料は負担が重くなります。事業拡大を見据えるほど、自社ECのコストメリットは大きくなる傾向があるといえます。

自社ECのデメリットと対策(集客コスト)

ブランディングや顧客データ資産化に強い自社ECですが、運用する上でのデメリットも押さえておく必要があります。それぞれの課題と対策を確認しましょう。

自力で集客しなければならない

自社ECでは、集客をすべて自分で行わなければなりません。マーケティングの知識がないと、せっかくサイトを構築しても顧客の流入を見込めないという課題があります。

対策としては、ウェブ広告・SEO・SNSマーケティングなどを組み合わせて段階的に知名度を上げていくことが基本です。自社に十分なリソースがない場合は、集客施策の設計や運用を外部の専門会社に委託することで、立ち上げ初期の集客コストと工数を抑えられます。

自社ECの集客施策について詳しくは、下記の記事をご参照ください。

サイト構築方法によっては手間とコストがかかる

自社ECの構築方法は複数ありますが、方法によっては専門知識や多大なコストが必要となる点もデメリットです。デザインや機能にこだわるほど、外部業者への開発依頼が必要になり、初期費用がかさみやすくなります。

対策としては、ASPカートやクラウドECなど、初期費用を抑えながら拡張性も確保できるプラットフォームを選ぶことが有効です。自社の事業規模や将来の拡張計画に合わせて、無理のない構築方法を選定しましょう。

成果が出るまでの時間が長い

自社ECは集客を自分で行う必要があるため、利益につながるまでに時間がかかる場合があります。もともとファンがついているブランドでない限り、オープン直後から売上を見込むのは難しいのが実情です。

対策としては、オープン当初から短期の売上だけを追わず、中長期的な視点でコンテンツ発信や広告運用を継続する体制を整えることが重要です。効果測定の仕組みをあらかじめ設計しておくと、改善のスピードも上がります。

自社の責任でセキュリティ対策を行う必要がある

自社ECでは、セキュリティ対策を自社の責任で行わなければなりません。ECモールのように、社外の運営元が対策を取ってくれるわけではないためです。オープンソース型やフルスクラッチ型では、脅威への対策をすべて自社で担う必要があります。
対策としては、随時アップデートが行われ、最新のセキュリティ対策を利用できるASPカートやクラウドECを選ぶことが効果的です。

たとえばShopifyは、クレジットカードを安全に取り扱うための世界基準PCI DSSレベル1の認証を取得しており、24時間体制の監視によって強固なセキュリティを実現しています。手間をかけずに高いセキュリティレベルを維持したい場合は、こうしたプラットフォームの活用がおすすめです。Shopifyについて、詳しくは下記の記事をご参照ください。

自社EC立ち上げの流れ・費用

自社ECを立ち上げる際は、目的整理→プラットフォーム選定→デザイン・機能設計→決済・配送設定→テスト・公開という流れで進めます。構築方法によって費用感が大きく異なるため、それぞれの特徴を理解した上で選択しましょう。

ASPカート

ASPカートとは、ECサイトに必要なショッピングカート機能を持ったプラットフォームが、クラウド上で提供されているECサイト構築サービスです。自社サーバーを用意する必要がなく、フォーマットに沿って機能やデザインを選びながら構築できるため、専門知識がなくても簡単にECサイトを立ち上げられます
構築方法の中でも初期費用やランニングコストが比較的安価で、無料プランがあるサービスもあり、小規模事業者でも始めやすいのが特徴です。将来の拡張性まで見据えるなら、Shopifyのようにコストを抑えながら拡張性にも優れたプラットフォームがおすすめです。

オープンソース

オープンソースは、無償で公開されているソースコードを利用してECサイトを立ち上げる方法です。
プログラミングの専門知識が必須で、ソースコードが公開されている分セキュリティリスクにさらされやすいという側面もあります。反面、カスタマイズ性が高く低コストである点はメリットです。

クラウドEC

クラウドECは、クラウド上で自社ECを作成できるサービスです。
ASPカートと似ていますが、事業者に合わせて機能やデザインを細かくカスタマイズすることを前提としており、オープンソースやフルスクラッチほどではないものの比較的自由にECサイトを構築できます。反面、コストはASPカートよりも高額になりがちです。

パッケージ

パッケージは、ECサイト構築に必要な機能がセットになったパッケージを自社サーバーにインストールして構築する方法です。
クラウドECと同様にカスタマイズ前提の方法ですが、自動アップデートができない点が難点で、コストも高額なため中規模から大規模の事業者向けといえます。

フルスクラッチ

フルスクラッチは、ECプラットフォームを利用せずゼロから自社ECを構築する方法です。
高い専門知識が必要となるため、一般的には外部の専門企業に開発を依頼します。莫大なコストと長い開発期間が必要ですが、最も自由なカスタマイズが可能です。

なお、事業規模によっては自社ECとECモールを並行運用するという選択肢もあります。ECモールで知名度と当面の収益を確保しながら、自社ECでブランドを育てていく方法です。その場合は、両者の在庫情報を連携できるプラットフォームを選ぶことが前提になります。

自社ECで成功している事例

実際に自社ECへの移行やリプレースによって成果を上げている事業者は数多くあります。業種によって求められる機能や見せ方は異なるため、自社に近い業態の事例を参考にすると、構築方針を検討しやすくなります。

アパレル・食品・コスメ・BtoBなど、業界別の具体的な成功事例は下記の記事で詳しく紹介しています。

自社ECとECモールは、それぞれにメリットがあります。両者の特徴を踏まえた上で使い分けたり、併用したりすることで、効率の良いEC事業の育成が可能です。ECモールとの在庫連携を見据えたプラットフォームとしてはShopifyがおすすめです。
楽天市場やAmazonとの在庫情報の連携も、管理画面からの「販売チャネルの追加」やアプリで簡単に対応でき、デザイン・機能のカスタマイズ性の高さからブランディングにも活かしやすくなっています。

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