ECのチャーンレートが悪化する2大原因と7つの改善策!種類ごとの計算方法も紹介

チャーンレートという言葉を聞いたことがあっても、詳しい内容はよくわかっていないという人もいるのではないでしょうか。チャーンレートを分析することによって収益性を改善できるため、正確な内容を把握しましょう。

本記事では、チャーンレートが注目されている背景や種類、計算方法のほか、悪化の原因と改善策などについて解説します。

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チャーンレートとは、解約率のこと

ネットでキャンセル人のイメージ

チャーンレートとは解約率のことで、一定期間内に自社サービスの利用をやめた人の割合を表す数値です。有料プランから無料プランにダウングレードした人の割合を含むこともあり、「顧客離脱率」「退会率」などとも呼ばれます

安定した顧客数の維持・向上が収益に直結するサブスクリプションビジネスにおいて、チャーンレートは特に重要です。

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ECでもチャーンレートが注目されている背景

チャーンレートを把握し、ビジネスに活かしたいと考える企業は少なくありません。今、ECサイトでもチャーンレートが注目される背景としては、下記3点の理由があります。

サブスクリプションビジネスが普及したため

チャーンレートが注目されるようになった理由のひとつは、さまざまな業界でサブスクリプション型のビジネスが普及していることです。

月額や年額の定額制で収益を上げるサブスクリプションモデルは、解約されない限り安定的・継続的に売上が上がり、将来の見通しが立てやすいビジネスモデルです。しかし、商品やサービスが陳腐化して顧客体験がマンネリ化すると、顧客が離脱して収益に大きなダメージを与えます。

サブスクリプション型のサービスを長く利用してもらえるサービスに育てるには、チャーンレートを確認して顧客のニーズを把握・反映し、継続的なアップデートにつなげる工夫が欠かせません。

サブスクリプションについて詳しくは、下記の記事をご参照ください。

提供中の商品・サービスの需要が測れるため

チャーンレートを分析すると、「現時点の商品・サービスに顧客が満足しているか」がわかり、市場における自社サービスの需要を推測できます。
結果として、「不満の多い要素を改善する」あるいは「人気を支えている要素を強化する」といった方法で、顧客離れを防いだり、ロイヤルティの高い顧客を保持したりすることが可能です。

新規顧客獲得に向けたアプローチ先の選定や、アプローチ方法の確立にも役立ちます。

解約の減少がコスト削減につながるため

チャーンレートの分析によって解約を減少できれば、サービスの維持・拡大にかかっていたコストを削減することも可能です。

ビジネスでは新規顧客獲得と既存顧客の維持の双方とも重要ですが、コストを加味した効率性を考えた場合、既存顧客の維持のほうにより注力すべきといわれています。なぜなら、新規顧客の獲得には、既存顧客の維持と比べて5倍のコストがかかると考えられているからです。これを、「1:5の法則」といいます。

また、既存顧客の維持にコストをかけてロイヤルティを向上させると、既存顧客が前回より高価な商品を購入して、生涯を通じて企業にもたらす利益(顧客生涯価値:LTV)を向上できる可能性も高まります。

チャーンレートの把握によって解約率を低減し、既存顧客を維持することができれば、企業はコスト削減と利益率改善を同時に実現できる可能性があるのです。

LTV(顧客生涯価値)ついて詳しくは、下記の記事をご参照ください。

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チャーンレートの種類と3つの計算方法

チャーンレートには複数の種類があり、ビジネスの内容や状況によって使い分けられています。下記では、3つの代表的なチャーンレートと計算方法を紹介します。

カスタマーチャーンレート

カスタマーチャーンレートは、顧客数をベースにしたチャーンレートです。サブスクリプション型のビジネスは、契約中の顧客数が利益に直結するケースが多いため、チャーンレートといえばカスタマーチャーンレートを指すことがほとんどです。

カスタマーチャーンレートは、一定の期間を区切って、期末時点でわかっている解約者数をその期間の当初の顧客数で割るという計算方法で求めます。

<カスタマーチャーンレートの計算式>
一定期間内の解約者数÷期間当初の顧客数×100=カスタマーチャーンレート(%)

アカウントチャーンレート

1つのアカウントを共有するイメージ

アカウントチャーンレートは、顧客数ではなく、登録されているアカウント数をベースに算出するチャーンレートです。一見するとカスタマーチャーンレートと同じに見えますが、一人の顧客が複数のアカウントを持っていたり、家族単位・会社単位でひとつのアカウントを共有していたりする場合もあるため、カスタマーチャーンレートとは別物として考えましょう。

アカウントチャーンレートは、一定期間内に消失したアカウントを、期間当初のアカウント数で割ることで算出できます。

<アカウントチャーンレートの計算式>
一定期間内で消失したアカウント数÷期間当初のアカウント数×100=アカウントチャーンレート(%)

レベニューチャーンレート

レベニューチャーンレートは、収益をベースにするチャーンレートです。ひとつのサービスの中に内容と価格が異なる複数のプランがある場合、カスタマーチャーンレートやアカウントチャーンレートだけでは収益への影響を正確に判断することができません。そこで、レベニューチャーンレートを使い、ダウングレードなどによって発生した収益への影響を割り出します。

レベニューチャーンレートは、下記の2つに分類できます。

グロスレベニューチャーンレート

グロスレベニューチャーンレートとは、一定期間内の解約やダウングレードによって発生した損失額にもとづいて算出するチャーンレートです。チャーンレートを算出したいサービスやプランについて、一定期間を通じて発生した損失額を、期間当初の定期収益額で割って計算します。

<グロスレベニューチャーンレートの計算式>
一定期間内の損失額÷期間当初の定期収益額×100=グロスレベニューチャーンレート(%)

ネットレベニューチャーンレート

ネットレベニューチャーンレートとは、損失だけでなく、価格プランのアップグレードや付随商品・サービスの購入によって生まれた利益も含めて算出するチャーンレートです。一定期間内に発生した損失額から期間内の増収額を差し引いた金額を、期間当初の定期収益額で割るという計算方法で求めることができます。

<ネットレベニューチャーンレートの計算式>
(一定期間内の損失額-一定期間内の増収額)÷期間当初の定期収益額×100=ネットレベニューチャーンレート(%)

増収額が損失額を上回っていると、マイナスの値が算出されるネガティブチャーンになります。ネガティブとはいっても、増益傾向にある良好な状態であるため、問題はありません。

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チャーンレート以外にKPIとして設定しておきたい3つの指標

チャーンレートをKPI(重要業績評価指標)として設定しても、それだけではチャーンレートが上下に変動する理由が解明できません。そのため、チャーンレートの変動に関連する指標もKPIとして設定し、顧客の行動傾向をより深く理解することが大切です。具体的には、下記に挙げる指標も、チャーンレートを目標値に近づけるために追うべき数値として、併せてKPIにすると良いでしょう。

チャーンレートの変動に関係するKPIの主な例

  • 解約数
  • 契約更新率
  • 顧客から得られた収益

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チャーンレートが悪化する原因は、顧客ニーズ把握とフォロー体制にあり

算出したチャーンレートの値が高いということは、解約が多いということです。チャーンレートの目安は、一般的には1ヵ月あたりで3~10%程度といわれていますが、企業の規模や商品・サービスの内容、顧客の属性などによっても異なるため、競合他社の状況などを調査して自社の目標値を定めましょう。チャーンレートが目標値よりも上回りそうな悪化の兆候が見られたら、早急に原因の究明と対策を行ってください。

チャーンレートが悪化する原因として考えられるのは下記の2つです。

商品・サービスが顧客のニーズを満たせていない

商品やサービスが顧客のニーズを満たせていないと、チャーンレートは悪化します。

顧客が、商品・サービスに「継続の価値がない」「ほかのサービスや商品に比べて質が悪い」といったネガティブな印象を持つと、チャーンレートが下がる可能性が高まるのです。

例えば、アンケートなどで顧客に下記のような印象を持たれていることが判明したら、注意が必要です。

顧客ニーズを満たせていない場合に顧客から持たれる印象

  • 商品・サービスの費用対効果に満足できなかった
  • よりニーズに合う他社商品があった
  • 性能面に不満があった
  • 料金が高い

顧客への十分なフォローができていない

顧客が解約を決める背景には、商品・サービス以外の間接的な要因もあります。例えば、使い方について問い合わせたコールセンターの対応が不適切だったり、長時間待たされたりすれば、顧客はサブスクリプションサービスを継続する意思を失う傾向があります。

契約が成立したら終わりではなく、契約後のフォローを担うカスタマーサクセス部門などのサービス向上に努めることも重要です。

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チャーンレート回復のために実施したい改善策7つ

データから改善策を検討する人々のイメージ

チャーンレートが悪化する兆候に気づいたら、できるだけ早く改善策を講じる必要があります。チャーンレートを改善するための代表的な方法としては、下記の7つが挙げられます。

顧客のニーズに合わせて商品・サービスを改善する

解約理由から顧客のニーズを分析し、その結果に応じて商品・サービスを改善することは効果的です。一度顧客になった人が、理由なく解約することはありません。解約の裏には、顧客満足度を下げ、「もう解約しよう」と思わせる何らかの要因があったはずです。チャーンレートを下げるには、顧客の不満を解決し、要望を反映することが重要です。解約時に実施するアンケートや、解約を受け付ける際の顧客へのヒアリングなどを通じて、解約理由を収集・分析してください。

多くの顧客が解約の理由として挙げる項目があれば、その項目を改善することによって、より顧客にとって価値のある商品・サービスにブラッシュアップできます。場合によっては、解約した顧客の再契約につながる可能性もあります。

商品・サービスのメリットや使い方を正しく伝える

解約されたケースの中には、商品やサービスを使いこなせていないケースがあると考えられるため、場合によっては、自社の商品・サービスでできること、具体的な使い方などを顧客にわかりやすく伝えるのも効果的です。

自社サイトに使い方やメリットを説明するページがない場合は新たに設け、そのようなページがある場合は内容を再考してブラッシュアップすることをおすすめします。また、商品の活用方法に関する動画配信やセミナーを実施したり、サービスの使い方についてよくある質問と答えをまとめたQ&Aを作成したりするのも有効です。

顧客とのコミュニケーションを見直しロイヤルカスタマーを育てる

メールやSNSなどで、ブランドに愛着を持ってもらえるような発信を継続的に行い、自社と自社ブランドに忠誠心を持って購入を続けてくれるロイヤルカスタマーを育てることも重要です。

チャーンレートの改善には、既存顧客とのコミュニケーションの回数やタイミング、内容などを見直して最適化を図るという方法があります。契約が成立したことに満足して顧客とのコミュニケーションをおろそかにしていると、顧客が他社の商品やサービスに目移りして解約に至る可能性が高まります。

ロイヤルカスタマーの育成には、CRM(Customer Relationship Management)を活用するとスムーズです。CRMとは、顧客との関係性を管理することや、その管理業務を効率化するシステムを指します。自社内に散在する顧客の購入履歴や属性、問い合わせ履歴といったデータを一元的に管理し、あらゆる接点で一律的なコミュニケーションを実現すれば、顧客との関係性向上につなげることができるようになります。

ロイヤルカスタマーについて詳しくは、下記の記事をご参照ください。

プラン変更を提案する

チャーンレートの改善には、プラン変更の提案も有効な手段です。

例えば、初期費用の優位性で獲得した顧客は、ランニングコストを負担に感じて解約を検討する場合があります。機能やオプションの変更によってコストを削減できるのであれば、サービスの提供者側からそのような提案をして、解約という最悪の事態を避けることも可能です。

利用休止という選択肢を用意する

利用休止という選択肢を設けることも、チャーンレートの改善につながる場合があります。商品やサービスへの不満がなくても、プライベートな事情でサービスを継続できず、解約を検討することがあります。それが一時的な事情だった場合、状況が落ち着けばまた契約を再開する可能性があるため、「利用休止」の選択肢を設けましょう。

顧客が利用休止を選択すると、チャーンレートは上がります。しかし、休止中も何らかのコミュニケーションをとり続ければ、再び収益化することも不可能ではありません。したがって、通常の解約によるチャーンレート上昇とは異なります。

また、顧客に「継続か、解約か」の2択を迫るのではなく、複数の選択肢から選べるようにすることで、柔軟性のある契約形態が評価されて顧客満足度が上がる可能性もあります。

価格を見直す

価格の見直しによって、チャーンレートを改善することも可能です。

競合の商品・サービスと比較して機能やサポートが充実していても、価格が高すぎれば、顧客に選ばれることはありません。もし、機能やサポートが他社の商品・サービスとほぼ同等であるのに価格が高いという状態であれば、たとえ自社と契約していても、解約されてしまう可能性は高いといえます。

商品やサービスを改善してもチャーンレートが上昇する兆候がある場合、価格設定を見直すことも視野に入れましょう。

ターゲットの設定を見直す

解約が増えないように施策をあらかじめ用意しておいてもチャーンレートが改善しない場合、ターゲットの設定を見直すという手もあります。

サービス内容や価格の改善などでも解約が増え続けるようであれば、サービスを訴求すべき対象を見誤っているのかもしれません。一度立ち止まって、自社のサービスを魅力に感じそうな層とターゲットにしている層が一致しているか、見直してみるのもおすすめです。

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チャーンレートの改善とサブスクリプション管理に便利なShopifyのアプリ

EC事業でサブスクリプション型サービスを運営する場合、ECプラットフォームはShopifyの活用をおすすめします。Shopifyであれば、豊富なデザインテンプレートによって簡単に自社に合ったECサイトを構築でき、サードパーティ製の機能拡張用アプリによって、自社に必要な機能の追加などのカスタマイズにも柔軟に対応することも可能です。

Shopifyには、サブスクリプションの管理やチャーンレートの悪化防止に有用なアプリもそろっています。例えば、下記の2つのアプリは、チャーンレートの改善に役立つ分析機能や、利便性を高めて解約防止につなげる機能の導入に役立ちます。

Shopifyについて詳しくは、下記の記事をご参照ください。

定期購買

定期購買」は、ハックルベリーが提供する、サブスクリプションの導入・管理を行うためのアプリです。日本語に対応しているため誰でも安心して使えます。マニュアルや動画が用意されていて、初期設定が5分~10分程度で完了するスピーディーさも魅力です。

購入金額で会員をランク分けできる会員ランク機能、初回の割引を一律で提供する初回割引機能など、顧客との継続的な関係を築くために有用な機能が豊富に搭載されており、顧客満足度を高めて解約防止につなげることができます。

Shopifyアプリの定期購買について詳しくは、下記の記事をご参照ください。

Mikawaya Subscription

フロアスタンダードが提供する「Mikawaya Subscription」は日本製のアプリで、アプリの導入から導入後のサポートまで、日本語での手厚いフォローを受けることができます。初期設定は、Shopifyの管理画面に登録した商品をアプリと紐づけるだけという、シンプルでわかりやすい操作が特徴です。

配送間隔・注文日の設定変更機能といった顧客満足度の向上に役立つさまざまな機能のほか、解約理由をアンケート調査して集計・分析する機能もあり、チャーンレートの改善にも活用できます。

Mikawaya Subscriptionについて詳しくは、下記の記事をご参照ください。

顧客分析や顧客管理を行って、チャーンレートを改善しよう

チャーンレートの改善には、顧客ニーズに沿った選択肢の提供や、顧客との継続的なコミュニケーションが重要です。EC事業のサブスクリプション運営では、Shopifyを活用すると、サードパーティ製のさまざまな機能拡張用アプリによってチャーンレートの改善を図ることができます。サブスクリプションの管理・改善に役立つ便利な機能を付加してくれるアプリを活用して、Shopifyでサブスクリプションビジネスを成功させましょう。

ShopifyでのECサイト構築や運用方法に悩むことがあったら、Shopifyの公認パートナーを活用するのがおすすめです。そのShopify公認パートナーの中でも最上位ランクのShopify PlusパートナーであるWEBLIFEは、ECサイトの構築・運用支援サービス「BiNDec」で、豊富な実績と知識をもとにしたノウハウを提供しております。Shopifyに関するお困りごとは、ぜひBiNDecにご相談ください。
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POINT

  • チャーンレートとは一定期間のサービス解約率のこと。サブスクビジネスの普及で注目度が上がっている。
  • チャーンレートの改善には、顧客ニーズを満たす施策や適切なフォロー体制の見直しなどが効果的
  • EC事業でチャーンレートの分析・改善を行うなら、便利なアプリがそろっているShopifyがおすすめ

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